本資料は日本と朝鮮を股にかけて起こった、ある国際的な詐欺事件の取り調べ調書である。

昭和3年、著名な教育家・実業家である巌本善治は、旧知の朝鮮人李世植から「大きな事業があるから京城に来い」という一通の電報を受け取った。巌本は待ち合わせ場所である朝鮮ホテルに着くと、李から崔麟政と皮煕承という2名の人物を紹介される。

崔は口を開くと、次のような驚くべきことを語った。ロシア皇帝ニコライ二世の秘宝金塊345トン宝石148箱がポセット湾の孤島に隠されており、自分はその場所に辿り着くができる。財宝を引き上げるので取引したい、と。

巌本は訝しむもその話を信じ、引き上げにかかる費用を出資することで3名と契約する。その後4名は中露国境の街琿春で実際に財宝を隠したという鄭なる人物と会うが、トラブルが発生。そこから事態は混沌としていく……。

以上の、まるで小説のような話が「金塊事件」の大まかなあらすじである。もちろん隠し財宝は崔の作り話であり、巌本が本件に投じたお金は当時の価格で約13万円。現在の価値にして約2億円もの金額を崔らに騙し取られたのであった。

ちなみに本事件については、「東亜日報」昭和4年1月30日号に「巨金探索者 崔麟政出發」、同昭和9年8月3日号に「七億圓祕寶 世界的獵奇 警視廳刑事隊出張 主役崔麟政 逮捕」という見出しで記事化されている。

本資料は逮捕された崔麟政と皮煕承、巌本善治に加え、崔の従兄弟や巌本が募った出資者らに対する警視庁による取り調べ調書を綴じたもので、厚さ約7cm分の量がある。

奇しくも今年、韓国では「113年前に沈んだロシア軍艦に財宝が存在した」というニュースが騒動を巻き起こしている。約80年前に起こった同様の事件の記録として興味深い資料である。

金塊事件崔麟政記録綴

¥216,000

昭和9年 謄写版

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