源豊宗(1895〜2001)は美術史家。絵画と彫刻を中心に古代から近現代まで縦横無尽に美術を論じ、「日本美術史年表」「日本美術史論究」など数多くの著作を残した。

 源は明治28年福井県生まれ。大正7年に京都帝国大学に入学し、国史及び美学美術史を専攻した。京都帝国大学在学中から「仏教美術」の編集者を務め、雑誌の編集と同時に多数の論文を執筆し、美術史家としての名声を高める。戦後は関西学院大学などで教鞭をとり、昭和48年に大学を辞した後も晩年まで執筆活動を続けた。そのほか、戦前から晩年まで「金葉会」という美術愛好家のための講座を開催し、昭和27年からは文化財保護審議会の委員も務めるなど、日本美術史界に大きな足跡を残した。

 本品は源自身が所蔵していた資料で、主に原稿・草稿・講義録・メモ類、写真、論文抜き刷り、文化財保護審議会資料から成り、全体でダンボール3箱分の分量がある(商品画像は原稿のみ撮影)。

 原稿・草稿・講義録・メモは戦前の「仏教美術」時代から昭和50年代のものまで、積み上げて高さ約25cm分の分量が残されている。原稿・草稿の一例として「南禅寺扇面屏風に就いて」「『美』を意味する日本語の展開」「豫楽院筆花木真写に就いて」「日本彫刻史上の夢殿観音」「宗達の芸術」などがある。

 講義録は「支那の仏像彫刻」「神護寺の仏像」(共に於懐徳堂)「日本彫刻史」(於奈良帝室博物館)「琳派の系譜 —宗達と光琳—」(於ブリジストン美術館)など。メモ類は「様式としての絵画性の意義」「土佐派の勃興の時期とその事情」などが残されている。戦前に執筆されたものが多いが、残念ながら保管の過程で泣き別れの状態になってしまったものが大半を占める。

 そのほか、著作の図版や参考資料として使用された写真プリントが大小合わせて、大きめのダンボール約一箱分。論文抜き刷りは源から学んだ学生・研究者から送られたもので、約100冊ある。文化財保護審議会資料は「国宝重要文化財議案説明書」など4纏まり。

 全体的に未整理の状態ではあるが、源の思考・研究の軌跡を窺い知ることができる重要な資料である。